東京五輪、どう対処しても失うもの多い日本

東京五輪番外編

The Wall Street Journalに「東京五輪、どう対処しても失うもの多い日本」という記事があった、原著2900字を3分で読めるように要約する。

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菅首相、東京五輪の開催で板挟みになる

菅首相は、東京五輪の予定通りの開催に固執している国際オリンピック委員会(IOC)幹部、と五輪開催の見直しを求める多くの医療・政治・産業分野のリーダーたちの間で板挟みになっている。

さらに、選手団の来日は、新型コロナウイルス感染の壊滅的な波を新たに引き起こす懸念から五輪を中止した方がいいとの圧力がさらに強まることが予想されている。

 

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6割の国民と一部の国が五輪開催に反対

日本経済新聞の新たな調査によると、日本国民の6割以上が予定通りの五輪開催に反対。

国民の間では、新型コロナウイルスの変異株の懸念と日本人の大半はワクチン接種を受けていないという懸念が反対の理由である。

朝日新聞は5月26日付の社説で、日本の全国紙としては初めて、五輪の中止検討を要請した。

世論調査によれば、韓国など一部の国の人々は、東京五輪開催に反対している。

 

 

五輪開催により失うもの

野村総合研究所のエコノミスト、木内登英氏は、中止にした場合の経済損失が1兆8000億円(約165億ドル)を超えると予想しているが、五輪によって感染が大きく広がった場合、それに対応する費用の方が大きくなると述べている。

日本政府と企業は既に、8カ所の新会場の建設に伴う30億ドルを含め、五輪に100億ドル以上の資金をつぎ込んでいる。また、コロナ禍で開催が1年延期されたことで、追加の準備や感染防止対策などにかかる費用の総額は10億ドル近くに上る。

現状では日本人の観客入場者数を収容能力の半分に制限する案が有力で、半数受け入れのケースでは、観客がゼロの場合に失われる約2000億円の観客支出のうち、野村総研の木内氏によれば734億円(約6億4000万ドル)前後を回収可能とみられる。

 

五輪開催の中止で失われるもの

大会中止による損失は、最も深刻な予想でも日本の国内総生産(GDP)の0.5%未満とされる。

大会組織関係者らは、五輪開催で日本を訪れた観光客がその後の数十年にわたり再び日本を訪れようとする、いわゆる「五輪のレガシー(遺産)効果」に期待していた。

経済学者で関西大学名誉教授の宮本勝浩氏は、このレガシー効果を逃すことで失われる収入は10年間で100億ドルに達する可能性があると指摘した。

大会の中止は、全ての売上高が失われることを意味する。10億ドル近いチケット収入、五輪開催の興奮の中で生じるテレビ購入を含む関連商品への日本人の支出などだ。

警備などの関連サービスに従事する企業との契約がもたらす経済刺激効果も失われる。また、世界中の何億台ものテレビに日本の映像が送られ、日本への好意的な印象を映し出すという別の類いのレガシー効果も失われることになる。

東京都との契約により大会中止の独占的権限を持つ国際オリンピック委員会(IOC)であるが、IOCの収入の約73%は、五輪のテレビ放映権料で占められている。米NBCユニバーサルは東京大会の米国放映権料として約10億ドルを支払っている。