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理学療法、リハビリ、初心者のための感覚検査、感覚と運動の関係

感覚医療

医療・介護・福祉現場のリハビリテーションで、理学療法士が行っている検査・測定に「感覚検査」があります。感覚検査の方法と「運動と感覚の関係」について解説します。

 

運動は外界からの刺激や情報を感覚受容器で受け、脳に集めて、身体の各部分を動かしています。

動かしている間にも、様々な感覚が働いて、運動をサポートしています。

つまり、運動と感覚はセットで機能していているため、感覚に異常がおきると運動にも影響がでてきます。

 

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感覚検査について

感覚検査は、検査により感覚障害がどこに、どんな異常があるか知るために行います。

できない(困っている)動作の原因として感覚が影響しているか調べるために行います。

 

目的

  1. 頭、体、手足の左右を比較して、どこにどんな異常があるか調べるため
  2. できない動作の原因として感覚が影響しているか調べるため
  3. 感覚の異常を数値化し、治療効果の判定にするため

 

感覚の分類

感覚は表在感覚深部感覚に分けて調べます。

この中で運動に大きく関係している感覚は、触覚、関節覚(運動覚・位置覚)です。

 

表在感覚

これは皮膚の感覚であり、触覚痛覚温度覚があります。

 

深部感覚

これは、骨・筋肉・関節の感覚であり、関節覚振動覚があります。

 

 

感覚検査の注意事項

感覚検査は、患者の返事により判定するため検査内容をよく説明して答え方を理解していただくことが大切です。

また、「分かりますか?わかりましたね?」と返事を誘導することは避ける。

できるだけ、服の上でなく素肌の上から検査しましょう。

 

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表在感覚

表在感覚の検査では、触覚・痛覚・温度覚を調べます。

触覚

「触圧覚」とは、触られた感覚や肌を圧迫される感覚のことです。
人や物に触れると、触れた感覚があるりますよね。これが「触圧覚」です。

患者を閉眼させて、柔らかな毛筆、脱脂綿やティッシュなどを用いて皮膚に軽く触れる。

検査方法

  • 左右対称的に行う
  • 例)右手→左手、右大腿→左大腿
  • 部位の順序は、顔→ 首→上肢→体幹→下肢の順に進める
  • 触れたらすぐに「はい」と答えさせる

判定

  • 鈍麻、脱失、過敏がある。また、程度も10段階で答えさせる
  • 例)右手の触覚鈍麻(左手に比べ4/10)

 

痛覚

痛覚検査は、痛みの感覚を調べます。

検査方法

  • 患者を閉眼させて、ピンまたは針で皮膚を軽く刺激する
  • 左右対称的に行う
  • 例)右手→ 左手、右大腿→ 左大腿
  • 部位の順序は、顔→ 上肢→ 下肢 の順に進める
  • 触れたらすぐに「はい」と答えさせる

判定

  • 鈍麻、脱失、過敏がある。また、程度も10段階で答えさせる。
  • 例)右手の痛覚鈍麻(左手に比べ4/10)

 

温度覚

温度覚検査は、暖かい・冷たいなどの温度感覚を調べます。

検査方法

  • 患者を閉眼させて、試験管に温水(40〜45度)と冷水(10度くらい)を入れた2本を用意する
  • 試験管を3秒ぐらい皮膚に接触させて「温かい」「冷たい」を答えさせる
  • 部位の順序は、顔→ 上肢→ 下肢の順に進める

判定

  • 鈍麻、脱失、過敏がある
  • 例)右手の温度覚鈍麻

 

記録

  • 感覚検査で異常がみられた部位に斜線を引いて、どこが異常が表す
  • 判定した、鈍麻・脱失・過敏 、程度 /10 を記載する

感覚検査

深部感覚(関節覚、振動覚)

深部感覚には、関節覚(位置覚、運動覚)、振動覚があります。

「運動覚」は、手足を動かした時の感覚であり、位置覚も含めて表現されることも多いです。

具体的には、肘を曲げたとき、目を閉じていても曲がっている感覚があると思います。

これが「運動覚・位置覚」です。

例えば)歩行練習中に、「表在感覚」と「深部感覚」の両方に障害があると、「雲の上を歩いているよう」あるいは「水の上を歩いているよう」と訴えることが多いです。

 

位置覚

位置覚は、閉眼していても関節の位置(曲がっている、伸びている)が分かる感覚です。

検査方法

  • 患者を閉眼させ、手足のどちらか一方の関節を検査者が他動に動かし、その位置を言わせる
  • 例)右肘が軽く曲がっている
  • 例)右足の親指が下に向いている
  • または、反対の手足を同じ位置になるようにマネさせる。

判定

  • 数回検査を行い何回正しかったかを記入する
  • 例)3(正しい回数)/5(検査を行なった回数)

 

運動覚

運動覚は、閉眼していても関節が動いた方向が分かる感覚です。

検査方法

  • 患者を閉眼させ、検査者が患者の手足の一部を他動的に動かして、動かした方向を言わせる
  • 例)足の親指を曲げたり、伸ばしたりして、上あるいは下と動いた方向を言わせる

判定

  • 数回検査を行い何回正しかったかを記入する
  • 例)3(正しい回数)/5(検査を行なった回数)

 

振動覚

振動覚は、骨に振動を与えたときに振動を感じる感覚です。

検査方法

  • 検査者はC音叉を振動させて、患者の鎖骨、胸骨、脊椎棘突起、上前腸骨棘、膝蓋骨、脛骨外果など骨の上に接触させる
  • 振動を感じるかどうか聞き、振動が止まったときに「はい」と答えさせる

判定

  • 鈍麻、脱失、過敏と判定する
  • 患者が振動が止まったと「はい」と答えたときに、検査者が振動を明らかに感じたら鈍麻
  • 振動を全く感じれない時は脱失
  • 振動が検査者が止まっているのを確認できているのに止まったと言わなかったときは過敏

 

 

運動と感覚の関係

運動と感覚は常にセットで機能しています。

人は外界からの刺激を感覚受容器で受け、脳に情報を送り、脳が処理して筋・骨格系に働きかけ身体を動かします。

このように感覚からの情報を脳で処理して運動を行うことをフィードフォワード制御と言います。

また、身体を動かしたことで外界から様々な刺激を受けます、その刺激を感覚受容器が感覚として認識し、脳に情報を送り、脳が処理することをフィードバック制御と言います。

 

運動制御

出典:運動学習科学研究室「運動制御には2種類ある」

 

このように運動と感覚の関係は、フィードバック制御やフィードフォワード制御によって常にセットで機能しています。

感覚に異常があるとフィードバック制御やフィードフォワード制御が崩れるため、正確なスムーズな運動に障害がおこります。

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