高齢者の転倒|原因によって運動療法が変わる|理学療法士が解説

転倒医療

高齢者の転倒といっても原因が違うことが多く、当然のことですが転倒原因が違えば運動のやり方も変わります。まずは、なんで転倒したか原因を探ることが大切です。原因が分かれば運動のやり方も決まります。転倒原因の探し方から原因別の運動のやり方について解説します。

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転倒原因を探しましょう

転倒原因は下のイラストのように、次のことが考えられます。
・姿勢が悪い
・関節が硬い
・歩き方が悪い
・バランスが悪い
・筋力が弱い

転倒の原因はさまざま

転倒の原因

バランスと筋力を診る検査:片足立ちテスト

バランスと筋力を診るための代表的な検査は、開眼片脚立ち検査です。
簡単ではありますが、運動器不安定症の診断にも採用されるほど転倒リスクを調べるためには有効な検査です。
運動器不安定症とは
例えば「歩行時にふらついて転倒しやすい、関節に痛みがあって思わずよろける、骨に脆弱性があって軽微な外傷で骨折してしまう」などの病態を疾患としてとらえ、それに対する運動療法などの治療を行うことによって重篤な運動器障害を防ぐことを目的にこの病態を認識していただくために命名された疾患概念です。

片脚立ち

検査の方法は、下の図のように行います。
とても、この検査自体が転倒しやすい検査なので注意して行ってください。
バランスを崩したときに、すぐに触れる物を用意して行う方が安全です。

片脚立ちの測定

測定値の解釈
片脚立ちが15秒未満のときは、転倒リスクが高い状態です。

 

片脚立ちの結果

 

転倒原因で多い:方向転換や立ち座りをみる検査

転倒原因に多いのが、歩いていての方向転換や立ち座り時といわれています。
その場面の能力をみるための代表的な検査が「Timed up & goテスト」です。
タイムアップアンドゴーテストと読みます。

タイムテスト

測定方法は下の説明の通り行います。
とても転倒する危険性があるテストなので、検査するときは必ず付き添って行います。

タイムテストの方法

測定値の解釈
20秒以上かかるときは、バランス不良と判断され転倒リスクが高い状態です。
30秒以上かかる時は、見守りも含め介助が必要な状態です。

タイムテストの判定

 

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運動療法のやり方

関節の動きを良くする運動

関節の動きが悪いときは、関節の動きを良くするため関節を動かします。
関節を大きく動かすため、マットなどに横になり、安定した姿勢で運動を行うのが効果的です。

運動性のアプローチ

身体を支える能力(支持性)を高める運動

重力に対して身体を支えるための能力を高める運動は、抗重力下で運動を行います。
少し頑張ればできるという課題で運動するのが効果的です。

立位能力

 

歩き方(スキル)を高める運動

歩き方を改善するには、歩いているところで直接アドバイスしたりハンドリングすることで改善していきます。
フィードバックが重要なので、良かったとか、どこが悪いとか患者様に具体的に伝えることがとても大切です。

運動スキル

運動のスキルを高めるためのポイントは段階的に進めることです。
1.言語的段階:まず患者様が分かるように言葉で理解します。
2.言語運動段階:運動しながらアドバイスして改善していきます。
3.自動化:喋りながら、景色を見ながらのように集中していなくてもできるようにします。

運動学習