お笑い芸人の鉄拳ネタに、こんな○○は嫌だ!があります。
理学療法士として医療の現場で働いて30年になります。
リハビリテーションの現場でセラピストと患者さんの関係は、「治療する人と治療を受ける人」、あるいは「見る人と見られる人」の関係になることが殆どです。
セラピストは患者さんを「どれだけ治せるか?」あるいは「どれだけ見れるか?」が専門職としての技量として評価されます。
そのため、患者さんからどう見られているか?という逆の見方で考えることが少ないと言えます。
患者さんから見てこんな理学療法士がいれば嫌だろうな?を考えて見ます。
1. 難しい顔、怒った顔をしている
真剣になると難しい顔になることが多いです。
セラピストが患者さんを見ている以上に、患者さんはセラピストを見ています(緊張しながら)。
難しい顔や怒った顔をしながらリラックスしてくださいと行っても無理です。
まず、セラピストが優しい顔、優しい雰囲気で接してください。
2. トークが中心
報告・連絡・相談は大事ですが、患者さんの前では控えましょう。
患者さんに傾聴し、困っていること、悩んでいることを理解することで信頼が得られます。
話好きな患者さんは、ずーっと話てきますがそれでリハビリが終わらないようにしましょう。
話を聞くことは大事ですが、それで日常生活動作を改善することはできません。
運動はしっかり行い、休んでいる時間にお話をしましょう。
3. 看護学生を気にし過ぎる
これは男性セラピストは特に気をつけなくてはいけません。
患者さんと一緒に看護学生もリハビリ室に来ることが多いですが、患者さんが主役であることを忘れてはいけません。
鼻の下が伸びているセラピストを患者さんはどう見ているか想像してください。
4. 他の患者さんと重ねてリハビリする
病院で行うリハビリテーションは個別療法が中心です。
個別療法とは、1人のセラピストが1人の患者さんリハビリすることです。
介護保険事業の集団療法の場合は除きます。
病院で行なっているリハビリテーションは、1人のセラピストが同時に複数の患者さんにリハビリしてはいけないのがルールとなっています。
ルールを守ることは当然ですが、しっかり患者さんと向き合うことで大事です。
5. スタッフルームにいつもいる
スタッフ間の業務量は、均等になるように担当する患者さんの数を決めています。
周りのセラピストがリハビリしているのに、いつもスタッフルームにいるのは変な現象です。
1番困っているのは患者さんです。業務時間中は患者さんのために動きましょう。
6. すぐ怒ったり、否定することが多い
大人になって他人から怒られたり、否定されることは辛いことです。
病院は安全が第一なので、少しでもリスクのある行動は注意しなくてはいけません。
しかし、急に病気やケガになり生活が一変し、困っているのは患者さんです。
できるだけ患者さんのプライドや自尊心が傷つかないように意識しましょう。
患者さんが辛い・苦しい時こと周りのスタッフは優しく接してください。
7. 訓練が難しく何をやっているのか分からない
一生懸命に勉強して理解したことを患者さんに伝えることは悪いことではありません。
しかし、基本となる知識(リテラシー)が違うので、自分が理解したこと全部が患者さんに伝わると思い込んではいけません。
できるだけ簡単な言葉で説明し、言葉ではなく身体で覚えられるように反復練習しましょう。
8. リハビリをする前から「あきらめている」
リハビリテーションの対象となるのは、治る病気の患者さんだけではありません。
治らない病気だからと言って、初めからあきらめてはいけません。
なぜなら、あきらめると、あきらめている態度が患者さんに伝わるからです。
見ているのは、私たちセラピストだけではなく、患者さんもセラピストを見ています。
肯定や否定でなく、寄り添い、サポートする姿勢が大切です。
9. リハビリ時間が短く、すぐ終わる
リハビリテーションは、時間で診療報酬を請求しています。
1単位20分として、実際にリハビリを行なった時間が1時間なら3単位、40分なら2単位の診療報酬をいただいています。
リハビリテーションに行って10分程度で終わるのは変です。
また、明細書に3単位と書かれているのに、リハビリ時間はいつも30分というのも変です。
医療保険により自己負担が1割-3割の支払いなので、問題になることは少ないですが明らかな変は信頼を失います。
一球入魂ではないですが、一回のリハビリに気持ちを入れる「一回入魂」のリハを!
10. リハビリが痛く、ハード過ぎる
リハビリを一生懸命に行うことは間違いではないですが、仕事ですから結果を出すことが大事です。患者さんの身体が良くなることが大事です。
リハビリテーションを行なったことで痛みが強くなる、動けなくなるという現象は起こしてはいけません。
リハビリテーションの途中に「痛くないですか?」「苦しくないですか?」と声かけしながら行いましょう。
また、体調は日々変化するので毎回決められたプログラムを行うことに固執しないで柔軟性を持ってリハビリを行いましょう。