運動の重要性は分かっていても、効果を出すのにはコツがあります。効果的な運動を行うには3つの原理と6つの原則の理解が必須です。リハビリ30年の経験から解説します。
3つの原理
1.過負荷の原理
この原理は、効果をだすにはある程度の運動負荷が必要ということです。
いつもと同じように動いていても、体力維持はできますが体力向上は望めません。
例えば)いつもと同じ動作でも、、、、
①:椅子から立つ時に1回 → 2回にする
②:駅までの移動を車 → 歩きにする。
これだけで効果は違います。
2.特異性の原理
この原理は、運動のやり方によって得られる効果が変わるということです。
例えば)
①:ダッシュや短距離走の練習 → 短距離走には効果○、長距離走の効果は少ない△
②:かなり重い、きついと感じる筋力強化 → 筋力増強効果には○、持久力の効果は少ない△
リハビリの場面では)
③:下半身の筋力強化練習 → 歩行には効果○、更衣(シャツの着脱)の効果は少ない△
3.可逆性の原理
この原理は、運動をやめると運動によって得られた効果を失ってしまうということです。
ただ、運動をやまても運動によって得られた効果のすべてを失うわけではありません。
運動のスキル(技術)は脳が学習して記憶しているので運動をやめても残ります。
例えば)一度自転車に乗れるようになれば、数ヶ月自転車に乗らなくても乗れる。
6つの原則
1.意識性の原則
この原則は、トレーニングの目的を理解して意識すると効果が違うということです。
例えば)
筋力強化のとき、どこの筋肉を鍛えているのか意識して運動するのと、意識しないで運動するのでは効果が全く違うということです。
これは、脳の活動が影響しています、意識するだけで脳からの筋への出力がアップします。
2.全面性の原則
この原則は、効果を出すには偏った鍛え方ではなく、全体的にバランスよく鍛えた方が良いということです。
例えば)足の筋力でけ鍛えるのではなく、体幹や手など全身を意識した運動を行う。
3.専門性の原則
この原則は、競技種目の違いや運動の目的にあった運動を行うと効果があるということです。
例えば)
①スポーツを目的とした運動であれば運動強度は高めの運動が必要です。
②高血圧や心臓のリハビリテーションでは運動強度は弱めの運動が必要です。
4.個別性の原則
この原則は、もともとの身体能力や運動能力が人によって違うので、自分にあった運動を行う方が効果があるということです。
日々の運動までも、他人との競争にならないように、自分の体にあった運動を意識しましょう。
5.漸進性の原則
この原則は、運動によって体力やスキルが向上したら、少しずつ運動負荷を高めて行うと効果があるということです。
いつもと同じ運動で、楽に感じるようになったら体力やスキルが向上した証拠なので、少し高めの運動負荷に変えるタイミングです。
6.反復性、周期性の原則
この原則は、体力やスキルを高めるには、繰り返し運動を行うと効果があるということです。
特に、体を鍛えるということより、技術(スキル)を身につける時は毎日繰り返した方が効果が有ります。
病院でのリハビリは、単純に筋力を鍛えることより、不自由になった身体をどう動かすかというスキルを身につけているので毎日行います。
単純な筋力強化であれば、同じ部位を毎日行うと炎症を引き起こすことになるので、週3ぐらいにするか、鍛える部位を変える方が効果があります。