国立がん研究センターは5つの健康習慣を実践する人は、男性で43%、女性で37%「がん」になるリスクが低くなると報告し、厚生労働省は「がん」の危険因子のうち特に重要なものは喫煙と食事等であると報告しています。
5つの健康習慣でがんリスクを半減に!
5つの生活習慣とは
「禁煙」「節酒」「食生活」「身体活動」「適正体重の維持」のことです。
出典:国立がん研究センター、科学的根拠に基づくがん予防
国立がん研究センターの追跡調査
日本全国の11の保健所の協力を得て、調査開始時点で年齢40歳から69歳の男女、総計140,420 人を対象に、生活習慣とがんやほかの病気の罹患(りかん)についての追跡調査を実施した。
その結果、この5つの健康習慣を実践する人は、0または1つ実践する人に比べ、男性で43%、女性で37%がんになるリスクが低くなるという推計が示された。
出典:国立がん研究センター、科学的根拠に基づくがん予防
がんの危険因子のうち特に重要なものは、喫煙、食物等
厚生労働省は、健康日本21(がん)の中で、 これまでに行われた多くの疫学的研究で、がんの危険因子のうち特に重要なものは、喫煙、食物等であると報告しています。
Wynderらの米国における発がん因子の寄与度の推計によると、環境性発がん因子が男女とも約80%を占めており、これらの環境性因子のうち食物の占める割合が最も大きく、男性40%以上、女性60%以上に達するとしている。
食物に次いで寄与度が大きい因子として喫煙があげられている。
Dollらの推計でも、発がん因子のうち食物の寄与度が最も大きく35%、たばこが30%を占めると報告している。
喫煙の対策
喫煙の対策は、禁煙することです。
禁煙支援プログラムを全ての市町村で受けられるようになっています。
禁煙ができない方は、このような行政サービスの利用をお勧めします。
食生活の対策
食生活における、発がんのリスクを下げる要因として、緑黄色野菜の摂取頻度が高いほど、胃がん、腸がん、肺がん、子宮頸がん等、多くの部位のがんのリスクを低下させることが明らかになっている。
塩分のとり過ぎは、高血圧、脳卒中等の危険因子となり、塩辛い食品のとり過ぎは、胃がんの危険因子となる。
脂肪の摂取については、動物性脂肪、特に獣肉、乳製品などの多量摂取と結腸がん、乳がん等の関係が報告されている。しかし、中には米国で行われた大規模なコホート研究のように両者の関係を認めていない報告もあるが、総合的に判断すると、動物性脂肪の多量摂取は結腸がん、乳がん等の危険因子である可能性が高い。
EPA:エイコサペンタエン酸、DHA:ドコサヘキサエン酸等のn-3脂肪酸に富む魚油はがん予防に有効であり、リノール酸(n-6)の過剰摂取は発がんを増強するとの実験結果もあるので、動物性脂肪の内訳としてはn-6脂肪酸に富む脂肪を抑制して、n-3脂肪酸に富む魚油の摂取を多くすることが望ましい。
富永の推計によると、食生活の改善では、食塩摂取量の減少及び脂肪過剰摂取の回避、生野菜や線維の多い食品の頻回摂取により、約12%のがんの予防が可能であると推計している。
※ 塩辛い食品の多量摂取が胃がんの危険因子になっているので、できるだけ塩辛い食品の摂取を避けることが望ましい。
※ 新鮮な野菜、緑黄色野菜を毎日摂取し、果物類を毎日摂取することが望ましい。
※ 脂肪のうち、特に獣肉、乳製品の過剰摂取を避け、n-3脂肪酸に富む魚類を摂取することが望ましい。
多量の飲酒
多くの疫学的研究から、多量の飲酒も口腔がん、咽頭がん、食道がん、肝臓がん、乳がんなどの危険因子となっていることが明らかにされている。
そのため、多量飲酒を避け、飲酒する場合は日本酒換算で1日1合程度までとするなど、「節度ある適度な飲酒」を推奨している。
「節度ある適度な飲酒」とは、次のことに留意する。
- 女性は男性よりも少ない量が適当である。
- 少量の飲酒で顔面紅潮を来す等アルコール代謝能力の低い者では通常の代謝能を有する人よりも少ない量が適当である。
- 65歳以上の高齢者においては、より少量の飲酒が適当である。
- アルコール依存症者においては適切な支援のもとに完全断酒が必要である。
- 飲酒習慣のない人に対してこの量の飲酒を推奨するものではない。
最後に一言
がん予防のため5つの健康習慣を見直すことが難しいと感じるのであれば、「禁煙」「節酒」「食生活」「身体活動」「適正体重の維持」の中でできることから始めるのが良いです。
できれば厚生労働省の報告でもある、「がん危険因子として特に重要」な「禁煙」「節酒」「食生活」から始めるのが効果的です。