仕事で年配の人たちと接する機会が多いのですが、そこで、老けて見える人には共通する3つの特徴があるように感じます。米スタンフォード大学の老化に関する驚異の研究結果についても簡潔に説明します。
老化は、34歳、60歳、78歳で急激に進む
米スタンフォード大学のトニー・ウィス=コレイ教授らの研究チームが、ヒトの老化に関する研究論文を学術雑誌「ネイチャーメディシン」に2019年12月5日発表した。
その研究は、18歳から95歳までの4263名から得た血液サンプルを用いて2925の血漿タンパク質のレベルを分析し、2925のうち1379のタンパク質レベルが被験者の年齢によって明らかに異なっていることを突き止めた。
その結果から、加齢のよる生理的老化は、平均34歳、60歳、78歳の3つのポイントで急激に起こることが分かった。
脳の老化は前頭葉から、見た目(身体)より早く始まる
体のクリニック院長で精神科の医和田秀樹先生によると、長年、高齢者医療の現場で膨大な量の脳のCTやMRI検査画像を観察してきた結果、加齢によって脳は萎縮するが、均等に萎縮するわけではなく、前頭葉が最も早く萎縮することが分かりました。
前頭葉の萎縮は、早い場合は40代から始まり、見た目(身体)の老化より早く始まります。
前頭葉が萎縮すると、怒りが収まらない、意欲が湧かない、柔軟性がなくなるといった症状が多くなります。
前頭葉の老化は、人から意欲を奪い、気持ちを切り替えにくい状態にします。
しかも、そのままの状態で放っておくと老化は進行します。
身なりに構わなくなって外見も老け込んでしまったり、何かにつけおっくうになって体を動かさなくなったりして、見た目(身体)の老化の引き金になるんです。
和田院長がおすすめする予防法は、「ドキドキすること、想定外の場面に遭遇すること」で、つまり、新しいことにチャレンジして脳の前頭前野に刺激を送ることが、老化を抑えるのに有効なのだそうです。
老化は口から、ささいな口の衰えに注意
ひと昔は、「老化は足腰から始まる」と言われていましたが、昨今では様々な研究や調査の結果「老化は口から始まる」ことが分かり、老化のはじまりを示す重要なサインとして近年注目されています。
“ささいな口の衰え”のことを「オーラルフレイル」と呼び、食べる、飲み込む、息をする、唾液の分泌、コミュニケーションをとる、といった様々な機能の衰えがでてきた状態です。
口腔機能や構造を健やかに保つ
- むし歯、歯周病、残存歯数の減少を予防する
- 口臭を防ぎ、清潔に保つ
- 舌の力、噛む力を鍛える
オーラルフレイルが進むと、食べる機能が低下し体力や筋力の低下を招き、老化につながっていきます。
オーラルフレイルが認められた高齢者は「要介護リスクが2.4倍に」、また「総死亡リスクが2.2倍に」跳ね上がると言われています。
見た目の老化は姿勢から
姿勢が悪くなると、見た目が老けてきた印象になります。
高齢者で姿勢が良い人は、年齢より若く見えます。
姿勢が悪いと、次の症状が出ると言われています。
- 背骨の病気が発症して、手足の動きが悪くなる、しびれがでる。
- 運動能力が落ちる
- 肩こり、腰痛、首痛
- 内蔵の不調
- 呼吸が浅くなる
- むくみ
- 疲れやすい、バランスが悪くなり、転倒しやすい
- 血行障害、冷え性
- 睡眠障害
鏡を見て姿勢をチェック、日々のストレッチで予防を
姿勢を確認する方法は、鏡の前に立ち、猫背など悪い姿勢になっていないか確認します。
日々の生活では背骨を丸めて作業することが多いので、予防としてはストレッチが有効です。
始めは、うつ伏せで背中を伸ばすだけでも良いです。
痛みがなく、余裕があれば無理しない範囲でストレッチを軽くしましょう。
1日で柔らかくしようとするのではなく、毎日続けることが重要です。