血清アルブミン濃度と6分間歩行距離の関係について

血清アルブミン濃度と歩行距離医療
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目的

栄養管理はすべての医療の基本であり、栄養状態の良否が手術などの治療効果、合併症の頻度•重症度、予後に大きく影響する。

特にタンパク質の不足は、筋肉量の減少、免疫機能の低下、創傷の治癒遅延などを引き起こす。

本試験の目的は、BMI指数、上腕三頭筋皮下脂肪厚(TSF)、上腕筋肉周囲(AMC)、血清アルブミン濃度の相関性を評価することと、歩行能力に血清アルブミン濃度が及ぼす影響を評価することである。

 

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方法

2006年4月〜2006年10月に外科•内科に入院して理学療法を行った患者65例(男性38例、女性27例、年齢79.4±10、入院前に歩行していない患者、麻痺や運動器疾患により歩行できない患者は除く)を対象として理学療法開始時にすべての患者に対して、BMI指数、握力、TSF、AMCおよびアルブミン血漿を含むルーチンの血液生化学検査ならびに6分間歩行試験を行った。

結果

1.BMI指数と%AMCに正の相関(P<0.05)

2.%AMCと6分間歩行距離に正の相関(P<0.05)

3.血清アルブミンと6分間歩行距離に正の相関(P<0.001)

4.6分間歩行距離に対する血清アルブミンの単回帰分析 決定係数(R2値)=0.26

変数の相関

歩行とアルブミンの単回帰分析

 

考察

1)BMI指数と%AMCに正の相関(P<0.05)

→AMCは骨格筋量とよく相関するといわれ、筋タンパク栄養障害の指標である。

BMI指数は肥満の判定に使われる指標であるが、対象で肥満判定されたのは1例のみであり、対象の98%は痩せすぎ〜基準値の範囲にある。

つまり、本試験に置いてBMI指数が増えることは標準体重に近くなることであり筋タンパク量も適切な量に増えたと考える。

2)%AMCと6分間歩行距離に正の相関(P<0.05)

→AMCは先に述べた通り、骨格筋量とよく相関するといわれているので、AMCの増減は骨格筋の増減となり、6分間歩行距離に影響したと考える。

3)血清アルブミンと6分間歩行距離に正の相関(P<0.001)

→血清アルブミンは血清タンパク質の大部分を占め量的に多いこと、また生物学的半減期が約21日と長いことにより、血清アルブミン濃度の増減は、それだけ身体に与える影響が大きく、6分間歩行距離の増減に関与したと考える。

4)6分間歩行距離に対する血清アルブミンの単回帰分析、決定係数(R2値)=0.26

→血清アルブミン濃度の変化で6分間歩行距離の増減の26%が説明できるということになる。

本試験により歩行能力と血清アルブミン濃度に密接は関連性が認められたことは、入院患者に対し運動療法を行う際、血清アルブミン濃度を考慮したプログラム立案を行う必要性を示唆したと考える。